2009年10月6日火曜日

宝石のような電化製品

(登場人物)
ツルコ:同じアパートに住んでいる。埼玉出身。

8時-----

まどろみの中、バリバリという音が聞こえる。
きっと電話がなっているんだ。
そう思ってぼくはベッドサイドの携帯電話に手を出した。
でも、それは日本から持ってきた携帯電話。
鳴るはずがない。
「ああ、そうか、フィンランドの携帯電話が鳴っているんだ、めんどくさいからまあいいや」
ぼくは目を閉じた。

でも、やっぱり出なくちゃいけないよなあ。
少し寝て冷静さを取り戻したぼくは、机の上においてあるNOKIAを開いた。
同じアパートに住んでいるツルコからだった。

「水がでないんやけど……!」
「たぶん断水だよ」

確認してみると、本当に水が出ない。
数日前から入り口のドアに貼ってあった謎の張り紙の正体はこれだったのか。

顔も洗えないし、歯も磨けない。
困った。
寝癖もぼうぼうだ。

ぼくは帽子をかぶって髪型をごまかして研究室に向かった。

9時半-----

研究所のトイレで顔を洗う。
何とかなった。
寝癖は完璧には直らなかったけれど、許容範囲だ。

さあ、今日もいつもと同じ研究生活の始まり。
今日は日本から送ってもらったフィンランドに関する本、これを一冊読もう。

11時半-----

食堂に行く。
ミートボールに赤いソースがかかったもの。
とても少ない。

12時-----

お昼過ぎ、もちろんぼくにやる気はない。
でも、少ないやる気の中でも、ちょぼちょぼとならば作業が出来る。
それがいい。
そうこうしているうちに、いつの間にかいつでもエンジン全開の立派な人間になれないかな。
なれそうな気もするんだけどな。
いつのまにかぼくは本を読み終えていた。
日本語の本は楽でいい。

本にはぼくが知らないフィンランドの制度のことや教育環境のことが書かれてあって勉強になった。

それらを参考にして、アンケートの項目を若干修正した。
保護者に聞いてみたいことも増えた。

14時半-----

公共交通定期の有効期限が今日までだ。
それを有効活用すべく、ぼくはヘルシンキ市内の調査に出かけることにした。
今回のターゲットはtöölöというところ。
ヘルシンキ市内でも特に人口密度が高いところだ。

行ってみると確かに、高い建物がずらりと建っている。
日本と違うところは建物の壁面の見え方だろう。
一枚の板が道の脇にどーんと置かれているように、すっきりしている。
建物と建物の間に隙間がない。
そして、道に面しているのは窓だけ。
調和のある景観だ。
そして、道は広く、芝生や街路樹などがたっぷり植えられている。
とてもきれい。

……でも、住むとなると、ここも完璧じゃないんだよなあ。
何となく。
子どもに戻った気持ちで、ここに引っ越してきたことを考えると、すぐに飽きてしまいそうなまちなんだ。

16時半-----

お気に入りの電気屋さんへ行く。
ここは楽しい。
ぼくは電気屋さんが好きだ。子どものときからずっとそう。
お正月とかに、電気屋さんの初売りのチラシが大量に入っていると嬉しくなるのだ。
電気製品は宝石と同じような魅力を持っているのだと、ぼくは感じている。

iPodのケースを買った。

17時-----

帰宅。

19時----

晩御飯。
キャベツとサラミの炒め物を作った。
失敗して美味しくなかった。
もう二度と作るもんか。

ユーリオとテレビを見る。
正直言って、あんまり内容は分かってない。
英語を上達させたい。

0時-----

シャワーを浴びる。
アパート全体の暖房が止まっているせいで冷えていた体が温まった。

1時半-----

寝た。